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iPS細胞:特許新たに2件…体細胞作成技術など 京大

2009年11月25日 18時17分 更新:11月25日 21時37分

 京都大は25日、山中伸弥教授が開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)からさまざまな体の細胞を作る技術の特許が日本で認められたと発表した。iPS細胞作成でも、昨年9月に特許を取得した4遺伝子を入れる方法に加え、がんに関連する遺伝子を除いた3遺伝子による安全性の高い方法も特許が認められた。新薬開発や再生・移植医療への応用が期待される。

 認められた体細胞作成関連の特許は、4または3遺伝子を導入して作成したiPS細胞を、神経や心筋などさまざまな組織に分化誘導する技術。方法は体の部位によって違うが、いずれの方法にも特許が及び、分化後にできた体細胞を使用する際も特許の対象となる。ただ異なる手法でiPS細胞を作った場合は、原則として特許から除外される。

 一方、3遺伝子によるiPS細胞作成法は、山中教授らが07年12月に発表した。当初の4遺伝子を入れる作成法は、作成効率が上がる半面、分化後がんになりやすい欠点があった。山中教授は「がんに関連する遺伝子を使わない3遺伝子の作成法(の特許)は、安全性の面で大きな進歩だ」と話した。

 今回認められた特許2件の出願時期は、昨年成立した特許と同じ06年12月。他にも関連する数十件を出願している。山中教授は「日本の知的財産なしにはiPS細胞を実用化・応用できない状況を作ることが、国際的な競争力を保つためにも大事だ。多くの特許を押さえていきたい」と述べた。京大は、欧米など海外十数カ国でも特許を出願中だ。

 iPS細胞の技術を巡っては、独製薬会社「バイエル・シエーリング・ファーマ」も山中教授と違う方法を日本で特許出願しているが、未審査の状態。海外でも米ウィスコンシン大など4機関が3カ月足らずの間に相次いで出願するなど、世界中で激しい特許争奪戦が続いている。【朝日弘行、野田武】
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